長屋シンポジウムvol.2「長屋とアート」

京島長屋82日プロジェクトは、京島三丁目にある長屋群(30軒程)の取り壊し予定を知った近隣有志のメンバーで「京島の長屋を考える会」を発足しました。「長屋のあるコミュニティー」を改めて考えるきっかけになっています。

今年1月には向島百景展と長屋シンポジウムvol.1「景観とコミュニティー」が行われました。

景観や建物、場所の議論を通じて、

「空間がもっている質、空気の質、みたいなものが映らないか、、、ずーと考えている。同じ土地でも建物が変わるなら、空気も変わる。その空気の差、差異とは何だろう」

写真家・中里和人さんの言葉から大切な空気感を共有していく必要性を強く感じました。

そして2回目となる今回のテーマは「長屋とアート」

向島エリアにおけるアートプロジェクト20年間に及ぶ取り組みを振返ります。

<<企画概要>>

日時:2月3日(土) 開会18時〜(開場は10分前より)

会場:キラキラ会館(京島第二集会所https://goo.gl/w2mmL9)

墨田区京島3丁目52−8

参加費:無料

<<企画内容>>

■第1部

▶事例紹介

・向島エリアとは?

・1980年代の向島エリアにおける東京都の防災生活園構想のモデル地区としての防災まちづくり活動

・アートプロジェクトの活動はどう、はじまっていったのか

・2000年〜2017年に行われたアートプロジェクトの事例をダイジェストにてお話しして頂きます。

■第2部

▶クロストーク

京島を舞台に活動する/していたアーティストによる

トークセッションを行います。

◯司会

・北川貴好

1974年大阪府生まれ。1999年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。2001年より墨田区在住。

環境や建物自体に手を加え空間そのものを新しい風景へと変換させていくという姿勢で、美術や建築の作品を制作する。

近年墨田区では、アップデートプラネタリウム(ユートリヤドーム2017)、みっける下町工場エリア(長屋の三会場2016)、不在の選挙展(2016)など、展覧会を企画する。

・ヨネザワエリカ

1979年大阪生まれ。広告会社などを経て東京を中心にライターとして活動している。墨田区では鳩の街通り商店街、墨東まち見世、39アートin向島、すみだ川ものコト市などへ関わる。美味しいものと美術とファッションをこよなく愛するさすらいライター

◯登壇者

・山本俊哉(明治大学理工学部建築学科教授/NPO向島学会副理事長)

1959年千葉市生まれ。千葉大学大学院修了。博士(学術)。専門は建築・都市計画。マヌ都市建築研究所を経て2005年から現職。1985年から向島の防災まちづくりに業務で関わり、川の手倶楽部や向島オッテンゼン交流委員会の事務局長を経て向島学会の設立に参加。2005年から明治大学に移り、向島スタディーズや向島デザイナーズに学生たちを送り出してきた。著書に「大地震に備える」「日本の安全文化」等多数あり。

・曽我高明

曽我高明(現代美術製作所ディレクター/NPO法人向島学会副理事長)

1958年東京生まれ。1991年早稲田大学大学院文学研究科修士課程(美術史専攻)修了。1997年から2016年まで、墨田区向島において「現代美術製作所」を運営。大岩オスカール、三田村光土里、kosuge1-16など、現代美術作家の企画展を行うかたわら、向島エリアで様々なアートプロジェクトに関わる。2017年11月、京都市上京区に「ANEWAL Gallery 現代美術製作所」をオープン。

・ティトゥス・スプリー(Titus Spree) CV (琉球大学教育学部美術教育の准教授、おきなわオルタナティブスクールのファウンダー/共同代表。建築家、アーティスト、キューレーター、教育者)

ミラノのドムスアカデミーのデザイン科の卒業後、ベルリン芸術大学において建築の修士課程を修了。1996年から東京大学に留学し、2001年まで東京の東にある向島エリアの研究とまち再生活動を行う。2001年から沖縄の琉球大学に在職し、沖縄を拠点に、建築・デザイン・アート・教育を横断的に結びつける国際的な活動を展開している。「向島ネットワーク」(東京墨田区)、「プラットフォーム-C カッパドキア・アカデミー」(トルコのカッパドキア)、「ワナキオ」(沖縄)など多数のアートと地域再生プロジェクトでディレクターを務める。また、2009年に「おきなわオルタナティブスクール」を立ち上げ、共同代表として創造的教育を開発する場として運営してきた。

・中里和人(写真家/東京造形大学教授)

1956年三重県生まれ。1979年法政大学文学部地理学科卒業。日本の地誌的ランドスケープを中心にした写真展、写真インスタレーション、写真ワークショップを、日本、韓国、ドイツなどで開催。2000年「向島ネットワークス」、「向島博覧会」など、向島で写真展、ワークショップに参加。「越後妻有アートトリエンナーレ」2012、2015参加。サイハテ学会共同代表。http://www.nakazato.info/

・嘉藤笑子(特定非営利活動法人Art Autonomy Network[AAN]理事長)

現在、跡見学園女子大学/武蔵野美術大学兼任講師。日本橋大伝馬町のクリエイター集合体”Creative Hub131"にAANの拠点を置き、国内外のアートプロジェクト(展覧会、ワークショップ、シンポジウムなど)アーティストネットワークを手掛ける。2005年から神山アーティスト・イン・レジデンス(徳島県神山町)の評価委員として活動し、アートとまちづくりの現場に関わっている。今年1月に開館した現代アートセンターNICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Artsの企画委員として、現代美術展の企画を担当している。「ダイアローグ~国際現代美術展」(2015)、「アート・シンクロ展~アートが世界をつなぐもの~」(2012)などの多彩なアート事業を運営している。著書・訳書・カタログ執筆など多数。

http://a-a-n.org/

・カワチキララ(アーティスト)

1971年、千葉生まれ。94年、米・メリーランド美術学院油絵科卒業。2003年、9.11と反戦をテーマとした「Crane Project ~つるがおるもの~」にて「第5回ロレアル色と科学の芸術賞」大賞を最年少で受賞。国立科学博物館で講義を行うなど、科学と美術の融合、社会・歴史・反戦・進化などをキーワードに映像を使うインスタレーションからドローイングまで、多岐にわたるアート作品を制作し、近年は都市養蜂と生物多様性について研究している。

・真野洋介(東京工業大学環境・社会理工学院 建築学系 准教授)

NPO向島学会で2002~12年まで事務局長をつとめ、アートプロジェクト「墨東まち見世」などに従事。京島では、東京理科大助手時代に、空き家のリサーチとリノベーションに関わったのが最初で、学生やアーティスト達と「京島ロジコミマップ(初版)」の制作やまちあるきを行う。近著に『まちのゲストハウス考』、『まちづくり教書』(2017)など。

・後藤大輝/GOTO DAIKI

1979年生まれ、茶商の孫。日本映画学校(現日本映画大学)演出専攻卒。

映画、映像をはじめ文化芸術に関わる様々なプロジェクトの企画制作に従事。2009年より墨田区京島にて「爬虫類館分館(BUNKAN)」を開始。「旧邸」「seep studio」「文花Lab」「別館」等、長屋物件の運営。墨田スタジオネットワーク。京島まちづくり協議会委員。

・木村吉見

墨田区移住10年目。フリーランスグラフィックデザイナー/イラストレーター。もと町工場をDIYした住居兼たまに開くアートスペース「yahiro 8」主宰。「ドンツキ協会」理事、シェアコウバ「となり製作所」お手伝い。路地、アナログなメカ、マニュアルトランスミッションのノロい乗り物などが好物。好きな言葉:この世でいちばん肝心なのはステキなタイミング♪

・長 加誉

アートマネージャー、コーディネーター。39アート in 向島実行委員会代表。1980年東京都墨田区東向島生まれ、育ち。2児の母。アーティストによる子供向けワークショップのコーディネートやアートプロジェクト・公募展の事務局等を務める。墨田区では「墨東まち見世」事務局、参加企画のグループ展「どこにいるかわからない展」(2012)のキュレーションなど。「39アート in 向島」を2010年より継続している。

・青木 彬

インディペンデント・キュレーター。1989年東京都生まれ。首都大学東京インダストリアルアートコース卒業。プロジェクトスクール@3331第1期修了。公共劇場勤務を経て現職。2016年より墨田区にてオルタナティブ・スペースspiidを主宰。「ソーシャリー・エンゲイジド・アート展」(2017, アーツ千代田3331)キュラトリアルアシスタント、「黄金町バザール2017」(2017, 横浜市)アシスタントキュレーター。

●主催

京島の長屋を考える会

主要メンバー:後藤・細田・清水・灰谷

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最後に・・・・・

20年程前から向島エリアで長屋をテーマに活動させてきたティトゥス・スプリーさんからのメッセージも抜粋します。

(2017年12月21日グループメッセージでの投稿)

長年、向島エリアで活動している一人として今回の話はとても重要に思っています。

京島3丁目の長屋郡がなくなると多分残っている長屋の一番広いアンサンブルが消えてしまいますね。

20年前から長屋の多い街並みがとても気になっていた僕には、とても悲しいことでありながら自然な流れでもあります。京島で活動を始めてからこういう街並みは物理的に保護しずらいものと見ていて、どうやってその中にある価値を明らかにしていくかについて沢山考えました。

どうして長屋と長屋中心のまちが、そこまで気なるかについて少しでも話したほうがいいと思います。

独特の住環境で独特のアイデンティティーの場所として注目し、いろいろ学べるのではないかと思いました。

最初から一番素敵と感じたのはとても人間に近いまちとのことです。マイクロスケールの木造のソフトな街並みによる出てくる独特の共同体はなかなか素晴らしいと感じました。

(中省略)

向島エリアの活動に一番期待していたのは街並みの保護というよりも新しい共同体の「形」です。形とは建築と街並みのハードも、コミュニティのソフトも両方含める意味です。

実は、向島ネットワークイベントからポツポツ新しい人が向島エリアに入ってき始め、少し新しいスタイル共同体が芽を出し始めたと見ています。若い人でも向島エリアにインスパイアされて、入ってきて出ていている人たちの流れを超えた、向島スタイルの共同性が生まれきたと言えると思います。

今回の企画では、なくなることを注目する意味もとてもあるが、そこから生まれてくる可能性もとても重要と感じました。

向島の活動を始めてから「ニュースタイル長屋」が浮かんできたが、今回具体的なモデルを作れるチャンスだと思っています。(後省略)

京島長屋82日プロジェクト

「京島長屋82日プロジェクト」は、平成30(2018)年1月9日(火)から立ち退き期限の3月31日(土)まで、取り壊しが決まった長屋で実施するプロジェクトです。大家さんのご厚意の下、既に空いてしまった長屋を使って様々な展示やワークショップを行います。それらを通じて長屋の歴史を知り、価値について考え、このまちでこれからも幸せに暮らしていくための方法を探ります。

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